当院の小児歯科について

小児歯科とは、成長発育期にある子どもの虫歯治療や予防を専門に扱う診療科です。対象となる年齢に明確な定めはありませんが、生後すぐ〜永久歯が生えそろう中学生ごろまでを一つの目安としています。 口腔は「食べる」「話す」「呼吸する」「表情をつくる」といった生きる上で欠かせない役割を担っています。そのため、お子さまを診察する際には、口腔内の状況のみならず、全身運動や知能の発達、食生活に至るまでくまなく目を向ける必要があります。当院では、歯科医師だけでなく多職種(看護師、歯科衛生士、管理栄養士、保育士)がそれぞれの専門知識・スキルを持ち寄り、お子さまの健やかな成長を支える第三の場所[サードプレイス]となれるよう取り組んでいます。
乳歯・幼若永久歯のう蝕予防について

わが国では1960〜70年代にかけて「虫歯の洪水」と呼ばれるほど虫歯が蔓延していた時期がありました。その後、国を挙げての予防対策が実を結び、子どもの虫歯は激減。令和6年度の文部科学省の調査では、虫歯を持つ子どもの割合は、小学生で約3人に1人、幼稚園・中学生では3割を下回ると報告されています。
Streptococcus mutansやLactobacillus属などの「虫歯菌」に侵された歯質は、自然治癒がほぼ期待できないため、早期発見・予防に努めることが何よりも重要です。特に乳歯や幼若永久歯(生えて間もない永久歯)は、歯の結晶が薄く未熟であるため、虫歯菌の作り出す酸への抵抗力が低いのですが、逆に「フッ素を取り込みやすい」という性質があります。
フッ素には大きく3つの効果
① 再石灰化を促進する
② 歯の構造を強化して酸で溶けにくくする
③ 虫歯菌の活動を抑える
があり、米国予防研究医療班は、フッ素化物塗布が最もエビデンスレベル(科学的根拠の信頼性)の高い予防法であると結論づけています。
生後10ヶ月から定期的にフッ化物を歯面に塗布したところ、乳歯う蝕の発生率が70%も抑えられたとする国内の報告もあることから、当院では9,000ppmと高濃度のフッ化物を3~4ヶ月間隔で塗布することをおすすめしています。(健康保険適応)
中学生 | 300円 |
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小学生 | 無料 |
未就学児 | 200円 |
また、奥歯の溝をレジンで埋めることで、汚れが溜まるのを防ぎ、虫歯菌が繁殖しにくい環境を整える予防填塞(シーラント)という方法もあります。
小児の口腔機能発達評価
近年のトピックスとして、18歳未満の小児に対する「口腔機能発達不全症」という疾患が新たに保険収載されました。
口腔機能発達不全症とは、生まれつきの病気や障害がないにも関わらず、食べる・話す・呼吸するといった口腔の機能が十分に発達していない(=遅れている)状態を指します。全国の子ども約3,400人を対象とした調査より、未就学児〜小学生の約3割に口腔機能発達不全症のサインである「お口ポカン」が見られ、その割合は年齢と共に増加していくことが明らかになっています。すなわち、食べこぼしや滑舌の悪さ、口呼吸などを「成長すればそのうち治るだろう」と放置しておくと、
①口周りの筋肉がゆるんで、歯並びが悪くなる、 ②口腔内が乾燥して、虫歯や口臭の原因となる、 ③細菌・ウィルスが直接飛び込んでくるため、感染症にかかりやすくなるといった事態に発展する可能性が高いという訳です。現在では、検査体制が確立しつつあるため、早い段階で適切なトレーニングを開始すれば、正しい発育へ導くことは十分に期待できます。
口唇圧測定器

舌圧測定器

小児の矯正治療
小児矯正は、顎の骨が成長する力を利用し、歯がきれいに並ぶ土台をつくるための「1期治療」と永久歯が生えそろってから歯を移動させる「2期治療」の2つのフェーズに分けられます。1期治療では、指しゃぶりや口呼吸などの悪いクセを取り除きつつ、顎の骨の成長を促すことが目的であるため、4~12歳ごろに開始するのが一般的です。成長期を過ぎると、矯正装置の効果が十分に発揮されないこともあるため、お早めにご相談ください。
当院は、マウスピース型(アライナー)矯正に特化した歯科医院です。スペースを作るための便宜抜歯やワイヤーでの矯正が必要なケースでは、矯正歯科専門医が在籍する同一法人の系列医院と連携の上で治療にあたります。

乳歯列期(おおよそ1歳〜6歳)

この時期はすべての歯が乳歯で構成されており、3歳頃までに乳歯が生えそろい、咬み合わせが形成されていきます。4歳頃からは、舌癖や指しゃぶりなど、将来の歯並びに影響する癖を改善するトレーニングや、必要に応じて早期の咬合誘導が行われることもあります。
混合歯列期(6歳〜12歳頃)

6歳前後から永久歯が少しずつ生え始め、乳歯と混在する時期です。最初に生えるのは「6歳臼歯」と呼ばれる奥歯。徐々に乳歯が抜けて永久歯に置き換わり、12歳頃には「12歳臼歯」も生えてきます。このタイミングでは「1期治療」として、骨格の成長バランスを整える矯正が行われます。
永久歯列期(12歳以降)

永久歯がすべて生えそろい、咬み合わせが安定してくる時期です。見た目の歯並びや細かい咬み合わせの調整を目的とした「2期治療(本格矯正)」が行われます。親知らずは16歳以降に生えてくる場合が多く、必要に応じて抜歯やスペースの調整が必要になることもあります。
メリット・デメリット
メリット
- 2期治療での抜歯リスクを下げられる
- 子どものうちから口腔の悪習癖を改善できる
- 成人に比べて痛みが少なく、装置への慣れも早い
- 矯正治療にかかるトータルコストを抑えられる
デメリット
- 保護者の協力が不可欠
- 本人のモチベーション維持が重要
- 治療期間は長期に及ぶ(1年~1年半程度)
- 保定が不十分だと、後戻りが起こる可能性がある
費用(税込)
カウンセリング+検査料 ※2回目以降は無料 |
5,500円 |
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基本料金 | 495,000円 |