口腔機能低下症(オーラルフレイル)
なぜ歯科医院で口腔機能の検査や管理に取り組む必要があるのでしょうか?それは、お口の衰え(オーラルフレイル)を放置しておくと、低栄養や全身の筋力低下が進み、要介護・死亡リスクを高めてしまうからです。
厚生労働省の報告では、健康寿命(=日常的な介護を必要とせず、自立した生活を送れる期間)と平均寿命の開きが男性で9年・女性で12年あるとされています。オーラルフレイル対策は個人のwell-being(幸福度)を支えるだけでなく、現行の医療福祉制度を維持していく上でも重要なテーマだと言えるでしょう。
オーラルフレイルとは?
かつて、口腔機能は「健常か、障害か」という二極化した捉え方しかなく、食事時のむせや滑舌の悪さが目立ってきたとしても「老化のせいだから…」と諦められがちでした。2010年代になると、数千人単位の大規模コホート調査を通じ、口の衰えには適切な対応をとることで元の健全な状態に戻せる段階があると明らかになりました。このような経緯を受け、新たに生まれた概念が「口腔機能低下症(オーラルフレイル)」です。それは「加齢や全身の疾患によって、口腔の機能が複合的に低下している病態」と定義される、いわば健常と障害の中間的な位置づけです。
オーラルフレイルの簡易チェック
検査内容
以下の7つの評価項目のうち、3項目以上に当てはまった場合、「口腔機能低下症」と診断されます。50歳以上であればどなたでも、医療保険を使って検査を受けることができます(3ヶ月に1回)。
1口腔衛生不良(口の中が汚れている)
舌の表面に付着した細菌数を測定
2口腔乾燥(口の中が渇く)
口腔水分計“ムーカス”を舌の先端近くに当て、約2秒で口腔粘膜の湿潤度を評価
3咬合力の低下(食べものが口に残る)
レントゲン画像より残存している機能歯の数を計測
4舌口唇運動機能の低下(食べこぼしが多い・滑舌が悪い)
「パ」「タ」「カ」をそれぞれ5秒間発音し、1秒あたりの回数をカウント
5低舌圧(飲み込みにくい)
舌の先端を上あごに持ち上げ、バルーンを押しつぶす力を測定
6咀嚼機能の低下(硬いものが噛めない)
専用のグミを20秒間噛み、唾液中に溶け出したブドウ糖の量を測定
7嚥下機能の低下(よくむせる)
EAT-10と呼ばれる「飲み込み」に関するアンケート調査
60代では約6割、70歳を超えると8割以上の方が口腔機能低下症に当てはまるというデータがあります。これらを放置しておくと、将来的に要介護状態となるリスクが2.4倍、死亡リスクが2.1倍になることもわかっています。
個人の状態に合わせたお口まわりの筋力アップトレーニングを毎日行うことで、失われつつある口腔の機能を回復させることが可能です。当院は検査機器を取り揃えていますので、一度オーラルフレイルの検査を受けてみませんか?